ホタテの黒い部分のウロの苦みが美味しいと食べる方が多いですが、実は食べるのは危険です、ウロには貝毒がある可能性があります。
美味しく安全に食べるために、ホタテの貝毒などの食中毒についてまとめました。
ホタテの貝毒
- ホタテには麻痺性貝毒と下痢性貝毒の2種類の貝毒が存在します。
- 麻痺性貝毒は中毒症状が重篤で死亡率が高いのに対し、下痢性貝毒は下痢や嘔吐などの症状で予後は良好です。
- これらの貝毒は有毒プランクトンが産生する毒を、ホタテが体内に蓄積したものです。
- 貝毒は主にホタテの中腸腺(ウロ)に蓄積されるため、ウロを取り除けば人体への影響はほとんどありません。
- 毎年3月~10月に発生しやすくなります。
貝毒の発生状況
- 貝毒の発生は地域によって異なります。
- 政府は食品衛生法で二枚貝の貝毒規制値を設け、生産地での自主的な検査体制を整備しています。
ホタテの安全な食べ方
- 市場に流通するホタテは貝毒検査で安全性が確認されています。
- ただし、ウロを取り除いて調理することが重要です。
ホタテには2種類の貝毒が存在しますが、ウロを取り除けば人体への影響はほとんどありません。市場に流通するホタテは貝毒検査で安全性が確認されていますが、念のため調理時にウロを取り除くことをおすすめします。貝毒の発生状況は地域によって異なるため、最新の情報を確認することも大切です。
麻痺性貝毒とは
- 麻痺性貝毒は、二枚貝類に蓄積される非常に強力な神経毒です。
- 主な原因プランクトンは渦鞭毛藻や藍藻などの有毒プランクトンで、これらが発生する水域に生息する二枚貝類に毒が蓄積されます。
中毒症状と予後
- 麻痺性貝毒中毒の症状は、食後30分程度でくちびるや舌にしびれなどによる発語障害や知覚異常が現れ、放置すると1時間程度で全身の麻痺が広がります。
- 麻痺性貝毒中毒は非常に重篤で、死亡率が高い食中毒になります。
その為、早急に人工呼吸器を使用する必要があります。
予防対策
- 二枚貝類の貝毒検査を徹底し、安全性が確認された貝類のみを流通させる体制が整備されています。
- 加熱調理しても毒力は弱まらないため、貝毒の危険性を理解し、適切な調理方法を心がける必要があります。
下痢性貝毒とは
- 下痢性貝毒は、二枚貝類に蓄積される神経毒で、主に下痢、嘔吐、腹痛などの消化器症状を引き起こします。
- 主な原因プランクトンはディノフラジェラート(渦鞭毛藻)の一種で、Dinophysis属などが知られています。
中毒症状と予後
- 下痢性貝毒中毒の主な症状は、食後30分~4時間以内に現れる下痢、嘔吐、腹痛などの消化器症状です。
- 発熱はなく、通常3日以内に回復し、後遺症や死亡例はほとんどありません。
その他の貝毒
- 二枚貝類には下痢性貝毒の他にも麻痺性貝毒などの毒素が存在します。
- マボヤやウモレオウギガニでも食中毒が発生したことがあり、二枚貝以外の海産物にも注意が必要です。
政府は食品衛生法で二枚貝の貝毒規制値を設け、生産地での自主的な検査体制を整備しているので貝毒のリスクは低いですが、万が一を考えるとホタテのウロは食べない方が良いでしょう。
加熱調理しても毒性が失われないため、適切な調理方法が重要です。二枚貝以外の海産物にも注意が必要です。
ホタテの食中毒
ホタテの食中毒は貝毒以外にビブリオ菌やカキのようなノロウイルスもあります。
ビブリオ菌
ビブリオ菌は、ホタテだけではなく海産の生鮮魚介類に生息する細菌で、夏に多い食中毒の主要な原因菌の一つです。
1980年代後半から減少傾向にあったビブリオ菌感染症が、1990年代初頭から急増し、1990年代後半にはサルモネラを上回るようになりました。
ビブリオ菌感染症の症状
- 主な症状は水様下痢、腹痛、発熱などの感染性胃腸炎です。
- 健常者では多くは水様下痢などの感染性腸炎症状が主体ですが、無症状のこともあります。
- 肝疾患患者では、経口感染から菌血症を呈する重症化リスクが高くなります。
ビブリオ菌の特徴
- ビブリオ菌は好塩性で、水温が15℃以上になると活発に活動します。温暖化によりビブリオ菌のリスクが増えてきています。
- 短時間で増殖する特徴があり、魚介類の生食や不適切な調理により増殖し、食中毒の原因となります。
- 主な病原因子として耐熱性溶血毒が知られています。
ビブリオ菌による食中毒の予防
- 魚介類の洗浄、調理器具の消毒、低温保存、十分な加熱調理が重要です。
- 手洗いの徹底も重要です。
ビブリオ属細菌の種類
- ビブリオ属には、腸炎ビブリオ以外にも、コレラ菌、パラコレラ菌、感染性下痢症ビブリオなど、様々な病原性の高い細菌が含まれています。
- これらのビブリオ属細菌は、主に海産の魚介類を介して人に感染し、食中毒や感染症を引き起こします。
ビブリオ菌は、主に海産の生鮮魚介類に生息する好塩性の細菌で、食中毒の主要な原因菌の一つです。1990年代初頭から感染症が急増し、近年は再び減少傾向にあります。予防には、魚介類の洗浄、調理器具の消毒、低温保存、十分な加熱調理、手洗いの徹底が重要です。ビブリオ属には様々な病原性の高い細菌が含まれており、注意が必要です。
ノロウイルス
ホタテはウロを生で食べた場合にノロウイルスのリスクが高くなります。
ウロを取り除くとノロウイルスの感染がほとんど発生していません。
- ノロウイルスは、カキなどの二枚貝に蓄積されやすく、生食や加熱不足の二枚貝を介して感染する事例が多数報告されています。
- 二枚貝は、ろ過摂食により水中のウイルスを濾し取り、体内に蓄積してしまうため、ノロウイルス感染のリスクが高くなります。
- 二枚貝を生食や加熱不足で食べると、ノロウイルスが体内に取り込まれ、感染症を引き起こす可能性があります。
- ノロウイルス感染者の排泄物が下水を通り川に流れ、河口に近い2枚貝が摂取する事により蓄積されます。
ノロウイルス感染症の予防
- ノロウイルスは85°C以上90秒間の加熱で感染力が失われるため、二枚貝は十分に加熱調理することが重要です。
- 生鮮食品の洗浄、手洗いの徹底、感染者の便・吐物への接触回避なども、ノロウイルス感染症の予防に効果的です。
ノロウイルス感染症の発生状況
- 日本では12月から3月にかけて全国的にノロウイルス感染症が流行する傾向にあります。
- 国立感染症研究所では、ノロウイルスの発生状況を定期的に公表しています。
ノロウイルスは、カキなどの二枚貝に蓄積されやすく、生食や加熱不足の二枚貝を介して感染する事例が多数報告されています。二枚貝は、ろ過摂食により水中のウイルスを濾し取り、体内に蓄積してしまうため、ノロウイルス感染のリスクが高くなります。 ノロウイルスは85°C以上90秒間の加熱で感染力が失われるため、二枚貝は十分に加熱調理することが重要です。また、生鮮食品の洗浄、手洗いの徹底、感染者の便・吐物への接触回避なども、ノロウイルス感染症の予防に効果的です。
ノロウイルス感染症の特徴
- ノロウイルスは非常に感染力が強く、少量の感染源でも感染が広がりやすいのが特徴です。
- 感染者の便や吐物に直接触れたり、汚染された食品を食べたりすることで感染します。
- 感染力が強いため、集団発生が多く見られ、特に高齢者施設や保育施設などでの集団発生が問題となっています。
ノロウイルス感染症は非常に感染力が強く、少量の感染源でも感染が広がりやすいのが特徴です。感染者の便や吐物に直接触れたり、汚染された食品を食べたりすることで感染し、集団発生が多く見られます。特に高齢者施設や保育施設などでの集団発生が問題となっています。
ウロはカドミウムも多い
ウロには貝柱の3~7倍と多くのカドミウムが含まれます。
カドミウム濃度が高い食品
- 米
- 日本人のカドミウム摂取量の約半分が米からの摂取です。米1kgのカドミウムは平均で0.06ppmです。
- 食品衛生法では玄米のカドミウム含有量は1.0ppm未満、精米は0.9ppm未満と定められています。
- 野菜
- 環境中のカドミウムが農産物に取り込まれるため、野菜にもカドミウムが含まれています。
- 長年、カドミウム濃度の高い食品を摂取すると、腎臓の機能障害を引き起こす可能性があります。
カドミウム濃度低減対策
- 農林水産省は、カドミウム濃度の実態調査を行い、低減対策の普及を進めています。
- 新たな低減技術の開発や普及にも取り組んでいます。
つまり、米や野菜などにカドミウムが含まれている可能性があるため、バランスの良い食事を心がけることが大切です。また、政府も対策を進めているので、今後の動向にも注目していく必要があります。
過去に、鉱山から排出されたカドミウムに汚染されてイタイイタイ病が発生した地域があります。
2枚貝やタコなど日常的に好んで食べている方が発症したという報告は確認できていませんが、ウロの過剰摂取は控えた方が良いでしょう。
麻痺性貝毒・下痢性貝毒はうつる?
麻痺性貝毒・下痢性貝毒は食べた場合に発症する可能性があります。
直接摂取しない場合はうつる可能性は低いと考えられます。
ホタテなど2枚貝を安全に食べるには
貝毒は熱処理しても消えないので、ホタテなど2枚貝を安全に食べるには、ウロは取り除いて食べるようにしましょう。
また食中毒の危険があるので、刺身で食べる場合は新鮮な物だけを、ウロを取り除いた後に塩素の水道水で良く洗ってから食べましょう。