令和の現在、おそらく10代20代の人たちはほとんど知らないと思う「カラスハネト」の存在。
娘にカラスって何?と聞かれたのでまとめてみました。
ねぶた祭りといえば、浴衣に赤や黄色のたすきなどをまとった衣装が定番で終始「楽しい~」という思いしかないでしょう。
しかし、カラスハネトを間近で見ていた私は、楽しいよりも『怖い』の方が大きかったです。
ねぶたのカラスハネトとは?
今から2~30年くらい前の2000年代。
ねぶた祭りには「カラス」と呼ばれる人たちがたくさんいました。
通称「カラス」と呼ばれていたカラス族は、ハネトとして跳ねるのではなく、ただただ目立つようなことばかりをしていました。
最後に運行するねぶたのハネトはほぼカラスでした。
ざっと数えても数1000人以上のカラスが、運行最後のねぶたのハネトとして、全身真っ黒のカラスハネトがぞろぞろと歩いていました。
カラスハネトの衣装
服装は、カラスという名の如く「全身黒ずくめ」です。
特徴は、黒の腹掛けと股引き、足袋を身にまとうのが定番スタイルです。
カラスハネトの基本的な衣装は全身黒ずくめですが、胸元をさらしを巻き、下だけ黒の股引き(またはショートパンツ)を履く人もいました。
平成2000年~2010年頃のねぶたは、カラスハネト以外にも正装ではない衣装の若者たちがたくさんでした。
全身白づくめの人は白鳥、白とピンクを身にまとった人はフラミンゴと呼ばれていました。
他には、暴走族の特攻服を着た人、オリジナルの衣装を作成しておソロにしている人などもいました。
昔は今よりもねぶた祭りのハネト参加者に対する規制はゆるく、辺りが暗くなるとカラス族たちで溢れかえります。
カラスハネトの目的
カラスハネトもねぶた祭りを楽しむという目的は同じだと思いますが、一般的な楽しみ方と違いました。
・ホイッスルを鳴らす
(「ピーピッピ、ピッピッピピー」という音をよく鳴らしていました。)
・ハネトに紛れてロケット花火をする
・ビールを飲みながらハネト参加
・お酒などを周囲にぶちまける
・缶ビールや瓶を客席に向かって投げる
・車のボンネットに乗る
・囃子方に紛れ込む など
すべて実際に見たこと、そして体験したことです。
はじめて家族でぶた祭りに行ったとき、中身が入った缶ビールが飛んできてからねぶた祭が怖くなり暫く嫌いになりました。
落下したのはすぐ目の前!今でも忘れられない新町通りのところです。
危うくぶつかりそうになり、とても恐怖だったのを今でも覚えています。
カラスハネトの目的は、ねぶた祭りの楽しい雰囲気の中で、誰よりも目立つことだったのかな~と思います。
令和のねぶたとカラスハネトの存在
令和になった現在も青森ねぶたには、少なからずカラスハネトのような人たちを見かけます。
とても少数派で、昔のように目線の先に必ずカラスハネトがいるときと違います。
令和のねぶたで見かけるカラスハネトのような人たちは、とてもカラフルです。
五所川原のたちねぶたの衣装のようなスタイルです。
青森ねぶた祭りの衣装を販売するコーナーでも、現在のカラスハネトのような人たちが着ている衣装は売っています。
ただ、こちらの衣装は青森ねぶた祭りの正装衣装ではありません!
この衣装を購入・着用しても、青森ねぶたのハネトとして参加ができないので気をつけてくださいね。
青森ねぶた祭りの衣装は、正装スタイルでの参加が前提です。
ねぶたのカラスハネト対策は現在も継続中
平成のねぶたでたくさんの迷惑行為やトラブルを引き起こしてきたカラスハネトたち。
ねぶたが始まると「器物破損で逮捕」「公務執行妨害で未成年の少年を逮捕」など、毎年のようにニュースになっていました。
カラスハネトは青森だけではなく、全国のニュースにもなっていたようです。
毎年、カラスハネトの人数や迷惑行為が増えていき、ねぶた祭り実行委員会や県警が対策を実行しました。
・県の迷惑行為防止条例によりカラスハネトを取り締まり対象
・警備員の人数を数千人規模に増やして対処
・正装のねぶた衣装を着用していないとハネト参加できない
・カラス衣装(腹掛けなど)の販売を控える
・一斉スタート一斉解散方式の運行方式に変更
・ねぶた運行の開始と終了時間を変更
・ねぶた終了後の警備強化 など
現在の青森ねぶた祭りは、カラスハネトがたくさんいた時期に比べると、だいぶ変わりました。
例えば、正装衣装でないとハネトたちがいる中へ入らせてくれません。
令和の現在もカラフルなカラス衣装を着た人たちがいますが、ロープを引っ張るスタッフたちは「ダメです!」と強く押し返している姿を毎年見かけます。
昔のカラスハネトだったら、きっとトラブルになっていただろう状況ですが、現在はスタッフのいうこと第一のようで正装衣装以外の人たちは客席へと静かに戻っていきます。
ねぶた祭りといえば、夜遅くまでやっていたと思いますが、現在は20時30分を過ぎたら終了ですよね。
ねぶたの運行途中でも時間が来たら、パッと囃子が止まり、ねぶたは小屋に戻る準備をします。
警察官によって「交通規制が解除されるので安全な場所に移動してください!」と。早く帰ってくださいという状況で、素早く交通誘導していました。
カラスハネトが最大11000人→380人→少人数へ
調べてみたところ、ねぶたのカラスハネトは最大11000人もいたそうです!
たしかに、最後に運行するねぶたのハネトは、何千人という数のカラスで溢れかえっていました。
たくさんの対策をおこなった結果、2005年(平成17年)にはカラスハネトが380人に減少。
その後も強化対策を継続&見直しをしたところ、令和の現在は数人しか存在していません。
カラスハネトのほとんどが10代~20代でした。
かっこいいという印象から、カラスの衣装を身にまとってねぶたに参加する人が多かったのですが、現在の若者はどうやら違うようです。
「正装衣装で純粋に跳ねた方が楽しい!」
こういった思いの若者が多いことから、カラスハネトは減ったのではないかなと思います。