「もつけ」は津軽弁で非常に特徴的な言葉で、文脈によって様々なニュアンスを持ちます。
もつけ (もつけぇ)
- 基本的な意味: 「ばか」「愚か者」「変な奴」「ふざけた奴」「おかしな人」
- ニュアンス:
- 肯定的な意味合い: 愛情を込めて「可愛いばか」「お茶目な人」といった感じで使われることがあります。場を和ませるような、どこか憎めない「お調子者」や「変わり者」に対して使われることもあります。
- 否定的な意味合い: 呆れや非難の気持ちを込めて「本当にばかな奴」「どうしようもない」というように使われることもあります。
「お調子者」と「もつけ」の関係性
「お調子者」と「もつけ」は、直接的な同義語ではありませんが、文脈によっては重なることがあります。
- 「お調子者」:調子に乗って軽率な行動をしたり、場を盛り上げようと明るく振る舞ったりする人。根底には「陽気さ」「はしゃぎ屋」といったニュアンスがあります。
- 「もつけ」:より広範に「ばか」「変な奴」という意味ですが、その「ばかさ加減」が結果的に「お調子者」のように見えたり、あるいは「お調子者」が度を過ぎて「もつけ」と評されることがあります。
例えば、誰かがはしゃぎすぎて、少々常識外れなことをした時、「あいつもつけぇだはんでな(あいつもバカな奴だからな)」と、呆れ半分、可愛がり半分で使われることがあります。この場合の「もつけ」は、結果的に「お調子者」的な行動を指していると言えます。
例文
- 肯定的なニュアンス (お調子者に近い):
- 「あの人はいつももつけぇことして、みんなを笑わせるな。」
(あの人はいつもおかしなこと(馬鹿げたこと)をして、みんなを笑わせるね。)
→ この場合、「お調子者」的な行動を指していることが多い。
- 「あの人はいつももつけぇことして、みんなを笑わせるな。」
- 否定的なニュアンス (呆れ、馬鹿な人):
- 「こんな簡単なことまで間違って、本当に君はもつけぇだなぁ。」
(こんな簡単なことまで間違って、本当に君は馬鹿だなぁ。)
- 「こんな簡単なことまで間違って、本当に君はもつけぇだなぁ。」
まとめ
「もつけ」は津軽弁において非常に柔軟な表現で、文脈や話し手の感情によって「お調子者」に近い意味にも、「ただの馬鹿」という意味にもなり得ます。
以前にご紹介した「おちゃっぴぃ」が「明るく陽気なお調子者」という肯定的なニュアンスが強いのに対し、「もつけ」はより広い意味を持ち、時に愛情を込めて、時に呆れを持って使われる、津軽弁らしい奥深さを持つ言葉です。津軽弁ならではの「お調子者」のニュアンスが伝わります。

